SPLYZA Motion導入実績:
山口大学 教育学部 斉藤先生


山口大学 教育学部 | 斉藤先生

■ 山口大学教育学部の特徴

保健体育教員養成が中心で、小中高の教員免許を複数取得できるのが特徴です。各学年10人未満の少人数制のため、自由度が高く、質の高い体育科教育学を学べる環境です 。最近では、他教科や特別支援を専攻している学生が保健体育の免許も取得するケースや、小中高、特別支援の免許を複数取得する学生も少なくありません。

■ SPLYZA Motion 導入前の課題

体育科教育学の世界では、これまで動作解析を行う際にバイオメカニクス的な詳細な解析は、体育の授業環境にマッチしにくいという課題がありました。即時性がなく、解析環境を整えることが困難だったため、専門ではない先生でも分かりやすい「観察的動作評価」が主流でした。

しかし、この評価方法では詳細な動作の変化を捉えるには限界があり、より深い部分を見たいというニーズをずっと感じていました。動作解析自体には以前から興味があったものの、体育授業で実践するには環境整備の難しさが大きな壁でした。また、フリーソフトの解析アプリも試しましたが、精度に問題があり、研究レベルでの活用は困難でした。

■ SPLYZA Motion 導入の決め手

日本体育学会(現:体育スポーツ健康学会)のブースでSPLYZA Motionを知ったことです。従来の動作解析に比べて、特別な機材やキャリブレーション、マーカー設置が不要で、iOS端末(iPhoneやiPad)での撮影だけで手軽に解析できる点が非常に魅力的でした。他の動作解析アプリと比較しても、撮影からすぐに解析に入れる手軽さが導入の決め手となりました。



■ SPLYZA Motion 実際の活用方法

主に私の研究活動で活用しています。専門である陸上競技の短距離走では、授業づくりの一環として動作分析にSPLYZA Motionを導入し、教材開発の妥当性を確認する際に活用しています。

また、学生の学習面でもSPLYZA Motionを取り入れ、探求的な学びのサポートとして活用しています。具体的には、機械体操の授業で学生自身が自分の動きを撮影・分析する際に利用させています。しかし、「何を見るべきか」という専門的な視点が学生にはまだ不足しているという課題も感じています。

■ 導入後の成果

研究の分析視点が大きく広がりました。以前は映像で大まかな動きの変化しか捉えられませんでしたが、SPLYZA Motionでスイングスピードなどの客観的な数値を提示することで、動きの変化とタイムの関係を詳細に分析できるようになりました。

また、生徒たちの主観的な感覚とSPLYZA Motionから得られる正確な数字の「ミスマッチ」を認識させることで、自分の体と向き合い、身体をコントロールする能力を高める「探究的な学び」に繋がっています。これにより、全体像だけでなく個別性の高い指導が可能となりました。



■ 学習面での効果

SPLYZA Motionの導入により、学生の興味関心を高め、多様な学習機会を創出するという効果が見られています。特に、体育が得意でない学生でも、「見る」ことや「分析」することに興味を持つようになり、これまでは実技の授業で目立たなかった学生が、積極的にデータ収集や分析を行い、議論の中心になるなど、隠れた才能を引き出すきっかけになっています。

一方、今後の展望としては、より深い学習を促すための課題も見えてきました。学生がSPLYZA Motionを十分に活用するには、「何を見るべきか」という具体的なレクチャーや分析のポイントを提示する必要があります。

また、現状の体育の授業では、結論を急ぎがちな傾向があるため、SPLYZA Motionを活用して数字の意味を自由に探究する「遊びの時間」を設けるなど、柔軟な授業設計が今後の課題であり、さらなる可能性を秘めていると感じています。